精神疾患アラサーよしふでの失敗と黒歴史~まだやれる~

人生情緒不安定。何度もうつ病。アラサー経歴無しでも気にしない

【誰でもキレる】麻雀に遅刻して泣きながら土下座した話

20歳くらいの時、私は麻雀にハマっていた。

ゲーセンにあるネット麻雀はよくやっていたし、予定が合う友達が4人集まりさえすれば雀荘に行き徹マンをしていた。仲間内でやるときは対戦をよりスリリングにするためにお金を賭けてやるのが基本だった。みんなそこは割り切ってやっているので、たまにギスギスすることはあっても仲違いやトラブルになることなくゲームを楽しめた。

 

そんな楽しいはずの麻雀の場で、私は泣きながら土下座をして謝ったことがある。

理由は遅刻。普通なら遅刻くらいでは土下座しないと思うが、この件は私が全面的に悪かったためこのようになった。

その時の土下座に至るまでのいきさつを語る。

 

その日は、中学時代の友達Aと、Aが通う大学の友達2人と私で、夜10時からT駅近くの雀荘で麻雀をする約束をしていた。Aも麻雀好きで、私もよくAに誘われてAの大学仲間と打つ機会があった。その日のAの大学仲間は、何度か麻雀を打ったことのあるK君と、私は初対面になるD君だった。

Aはかの有名私立大学に通っており、その仲間たちは頭が切れて打ち回しが上手い人ばかりだ。麻雀が上手い人とやるとよりスリルがあるゲームになって楽しくなる。私はこの日も麻雀が打てるとわくわくしていた。

 

同じ日、別の友人から友達4,5人で夜7時にラウンドワンで遊ぼうと連絡が入った。麻雀の予定が入っていたが、それまでならOKということで承諾した。そして夜になり、友達の車1台と、私はそのまま雀荘に行けるように家族の車を借りて別々にラウンドワンに向かった。

 

まずは仲間内ではお決まりのボーリング。負けたら勝った人にジュースを奢るという形で、チーム戦や個人でスコアを競い合って白熱した勝負を楽しんだ。その他に施設内にあるゲームセンターで、音ゲーメダルゲームを楽しんだ。

 

その最中、時間を確認するために携帯を見るとAから「予定より友達が早く着くから3マー(3人で麻雀)して待っている」とメールが入っていた。私は「了解」とだけ返信した。

その時、約束の時間まであと1時間近くあった。私がいるところからは車で30分もあれば雀荘に着く。一応、夜10時という約束なのでとりあえず時間ギリギリまでラウンドワンで遊んでから行こうと思った。

※ちなみに3マー(3人麻雀)は、麻雀のゲームとしての形は成り立つが4人でやる楽しさには到底及ばない。雀荘でやるには暇つぶし程度でかなり退屈。

 

実は言うと、私はAが少し苦手だった。Aは体が大きく根拠のない自信を持っており、人に対する時も臆することなく、活発的に行動をする人だった。対して、私は消極的で自信が無く、自分から人に話しかけられない引っ込み思案な性格だった。

麻雀は好きだが、そんな対照的な性格をしているAの強い「圧」が苦手で、会うのを少し億劫に感じていた。

こうして遊んでいるうちに麻雀よりもAに会いたくない気持ちが膨らんでいき、約束の時間が近づいてもラウンドワンで遊ぶのをやめなかった。

 

私は麻雀の約束のことなど忘れて、みんなと夢中になってゲームを楽しんだ。

すると、友達から「時間過ぎてるけど大丈夫か?」と言われ、ハッとして慌てて携帯を取り出した。私は携帯を見て固まった。

約束の時間を30分以上も過ぎており、Aからの着信履歴が何件も入っていた。一瞬でまずい状況だとわかる。頭から血の気が引き、急いでAに電話を返した。

 

電話に出たAは「何回も電話したのになんで出なかったの?」と、明らかにキレていた。私は口をどもらせながら「遊んでた…」と返した。

するとAは「マジでありえないんだけど。」と、呆れたようなキレ口調だった。続けてAは、

「みんな今日楽しみにして遠くからわざわざ来てんのにさ、まだ遊んでるとかありえないっしょ。K君は久しぶりに(私に)会えるの楽しみにしてたのにさ、マジで何考えてんの。今日初対面の人だっているのに、普通に考えてありえないから。」

と、Aは怒気を込めながら静かに、落ち着いた声で私にキレた。それがめちゃくちゃ怖くて私は震えながら謝った。

Aから数分の説教の受けている間、私はずっと「ごめん。」としか言えなかった。時間を守らなかった私が全面的に悪い。それから説教は数分続いた。

説教が一通り終わり、Aは最後に「待っているから早く来いよ」と言って電話を切った。

 

私は急いでラウンドワンを出て、車を飛ばした。運転している間(俺はなんて馬鹿なことをしたんだ)という言葉がずっと頭を巡り、後悔の念に圧し潰されそうになった。自分のやったことを責めに責めた。

急いで雀荘近くのパーキングに車を停め、ダッシュで友達がいる店に向かい約束から1時間以上遅れて到着した。店内に麻雀卓は15卓ほどあり、どこかに3人の卓が無いか急いで雀荘内を探し回った。

 

そして、友達がいる卓を見つけた瞬間、周りにいる他の客の目など気にせず3人の目の前で土下座をした。

「ごめん。本当にごめん…!」と何度も謝った。本当にひどいことをしたと後悔の気持ちが心の底から湧き上がってきて涙が出た。自分を殺したくなるくらい悪いことをしたと思って、本気で謝った。自分でもよくわからなくなるくらい、とにかく泣きながら謝った。

A達はその間ずっと無言で聞いていた。たぶん、怒りと私の行動に戸惑ったのだと思う。

10分ほど土下座をしていると、Aは「もういいよ」と、とりあえず頭を上げなと促したので、私は顔を上げた。最初の険悪なムードとは違い、少し落ち着いたような雰囲気になっていた。

Aは「まあ、もうそこまで気にしてないから大丈夫だよ」と許してくれた。

K君も優しく「いいよ」と言ってくれた。

D君はどうしたらいいかわからず戸惑っていた。初対面がいきなり泣いて土下座じゃ無理もないと思う。ひとまず、ここで話は一端落ち着いた。

 

そしてこの茶番も一通り終わり、Aは「とりあえず4人集まったし、気持ちを切り替えてやるか!」と言い、みんなも「よっしゃやるか」といった感じで麻雀を開始した。だが、私はまだ自責の念に駆られて涙が止まらなかった。

 

私は手牌を崩しながら、自分がアガらないように打った。あんなことがあった後で何事もなかったかのように打ったら、さっきまでの謝罪の気持ちが嘘だと思われそうだったから。

ただ、これを見たAは「もうさっきのことはいいから、普通に打とうよ。じゃないと面白くないから」と言った。確かに、ちゃんと打たないとそれこそ場を白けさせてしまうと思い、普通に打つことにした。でも、後ろめたい気持ちがまだ残っていたので、とにかくいい手がこないことを祈った。

だが、気持ちとは相反してありえないくらい手牌やツモが良かった。どんどんいい手が入ってくる。みんなが渋そうな顔をしている中、あんなことをした私1人だけが調子が良くて罪悪感が半端なかった。

でも、普通に打つという約束は破れなかったため、心の中で(ごめんね。)と思いながらツモ、ロンをした。

こうして私は望まぬアガりを繰り返し、涙を流しながら3人の点棒をかき集めるという奇妙な展開になった。

 

それを見たAは「遅刻したクセにアガりすぎだろ笑」と皮肉交じりに冗談を言って、場を和ませてくれた。そこで今日初めての笑いが起きた。このおかげで安心して涙は止まり、そこからは談笑を交えつつ朝まで麻雀を楽しんだ。そして、帰り際にもう一度みんなに謝ってから解散した。

 

これを機に、私は2度と遅刻しないと心に誓った。それからもこの約束はずっと守っている。

 

Aとは今は全く連絡は取っていない。Aに直接苦手だと私から伝えたからだ。ただ、Aはいいやつだし、あの時本気で説教してくれて本当に感謝している。

 

心の底から本気で謝ったのは人生でこの時の1度きり。たぶん、こんなに人に謝ることはこの先もう無い、はず。

 

友達との約束は守ろう。

 

明日もハレルヤ